2006
10.12

Vol.42「第1回SILC(サービスインダストリーリーダースカンファレンス)」

けんぞう見聞録


□日時:2006年10月12日(木)~13日(金)
□場所:山梨県「リゾナーレ小淵沢」
□内容:第1回SILC(サービスインダストリーリーダースカンファレンス)


グロービスの堀さんや星野リゾートの星野さんがメンバーとなり発足したサービスに特化したビジネスセミナーに参加してきた。この会議ではサービス業に従事する経営者が集い、革新的なサ-ビスについて大いに学ぼうという主旨で日本を代表するそりゃ凄い経営者がたくさん集まっていた。いやあサービス業はほんまに奥が深いもんでんなあ。


星野佳路氏/星野リゾート

・観光大国の4条件は交通、安全、文化、知名度でありフランスは年間7000万人の観光客を集めているが日本は600万人で世界32位。33位のチェニジアにはサッカーで負けても観光で負けるなと思っている
・日本の温泉旅館は300年変わってこなかったし、海外と競争している意識が少ない しかし産業としても雇用面、農業活性化、地方税収面でも重要である
・現場のスタッフはお客様に喜んで欲しいと考えているので、マニュアルや予算で縛るのではなく、素直な心を活かす環境を作る事が大切
・旅館の効率化には一人のスタッフがなんでもこなす「マルチタスク化」が必要
・CRMは簡単にやめずに継続しながら、改善に採用すべきコメントをそうでないものを分類していくことがポイント

今やリゾート運営の達人として日本中から注目を集めている星野社長ですが、残りのキャリアを日本の温泉再生にすべてかけてもいいという熱意ある言葉が印象的でした。


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折口雅博氏/グッドウィル・グループ

・経営者はスペシャリストでなくてもよい。人を活かす能力があれば成長できる
・介護ビジネスに大手が参入してこなかったのは検討したが実行しなかったため
・サービス業にはブランドが大切。ブランドはパブリシティや広告で育てる
・完璧主義はダメ。70%でGOしないとスピード経営はできない
・「ディスコも介護も同じ」というコメントには人を喜ばせる本質は同じという意味がある

介護マーケットでは一人勝ち企業ですが、医療分野では完璧なサービスが求められるが介護では70%でいいのでスピード経営できるのだという言葉が印象的でした。


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サービス業の事業変革・事業再生~事業再活性化に挑む

○冨山和彦さん(産業再生機構)

・ダメになる会社は「ゆるい!」創業者が成功すると2代目、3代目と企業はゆるくなる
・カネボウの美容部員は個人評価をしなくても効率はとても高い。なぜ人は働くのか?洞察することが必要
・再生の簡単な方法は管理スタッフを半分に減らすこと。レイヤー組織はフラット組織に移行させハンコの数を減らすこと

○林恵子さん(I・M・A/日興アセットマネジメント)

・机をたたいてキレたらみんなに辞めると言われた。女は声をあげても何の得もない
・再生の肝は腹をくくること。やれることを全てやってから結果を待つ
・女性は愚痴を言う事だけでもガス抜きができる。何でも相談できる窓口を作っておく

○川鍋一朗さん(日本交通)

・米国でMBA取得後、入社したら「アメリカ帰りのエコノミスト」と呼ばれて大失敗した。自分を信頼してもらうには1年半かかった
・最終的には何を言うか?ではなく誰が言うか?で組織が動く
・サービス第一運動を展開すると2割が黙って実行。2割が無関心。間の6割の従業員のモチベーションを上げる工夫がポイント

再生のプロセスでは必ず辞める人が出てくるが、例えばリストラの際に経営者ができることを徹底してやり尽くしたか?が重要。ここで手を抜くと残った社員に悪いウィルスが発生し5年10年治らないという話が印象的でした。


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多店舗展開の肝~質を落とさない規模拡大

○岩井一隆さん(キュービーネット)

・創業時は既存の床屋の反発がたくさんあったが、それだけ脅威に感じている現れでもあった
・15分で完了させるため、ヨットのキャビンを参考にスタイリストがお客様のそばを離れず全ての道具が手の届く所にあるレイアウトを実現
・現場が悩まなくてもよい、一人一人が考えなくてよいという環境を作るものがマニュアルである
・技術者はお客様の要望に細かく応えたいというが、15分という価値を守るためにはこだわりを捨ててもらうこともどこの店でも同じサービスが受けられるという安心感というブランドを守るためには必要

○佐藤裕久さん(バルニバービ)

・うちのやり方では臨界点はない。人ありきのビジネスなのでお店で2番手3番手のスタッフがピンになりたい時に店をだし、会社がサポートする
・面接は5秒で判断。じっくり付き合ってみたらええ人というのはサービス業に向かない
・立地についても、元からいい場所ではなくてもお店ができて人が集うことで街の魅力は育まれていくもの

○林浩喜さん(ドリームコーポレーション)

・今でも成長のボトルネックは場所探しである
・始めは急いで出店していこうとしたが、全く機能しなかったため、もう一度理念づくり、マニュアルづくり、現場の行動と考え方を整理している。人を育てるのは時間がかかるものであるが、それでいいと思っている
・スタッフにはHOWを教えるのではなく、WHY、WHATを教えることが重要

徹底的に機能を追求したQBハウスのマネジメントと個人が生み出す接客サービスを追求したレストランビジネスの対比がとても面白かった。サービス業にはターゲッティングが重要である事を改めて思い知らされた。


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現場で見る環境経営~星野リゾートのケースから学ぶ

○星野佳路さん(星野リゾート)

・リゾート運営の達人となるためにがエコロジカルポイントも目標にしている
・具体的には披露宴の料理から出る食べ残しを減らすため、着席後にオーダーできる仕組みを導入し食べ残しを16%削減
・軽井沢の星乃屋では地熱を利用したエネルギーシステムを導入し内部でのエネルギー供給量を21%から75%に拡大した

○畑スタッフの松田さん遠藤さん

・ゴミ分別は18種類。すべてのゴミを計量してから捨てることで変動管理を行っている
・生ゴミはたい肥を作る機械を導入し畑で活用している。今年の収穫祭ではお客様にミネストローネスープを提供。子供が参加できるピザ作りなどのイベントも開催

畑で飲んだワインも最高でしたが、新人スタッフのお二人が「久しぶりにリゾナーレに星野社長が来てくれて嬉しい!」というコメントをお聞きし、社長に会えて嬉しいなんて究極のマネジメントだと大いに感心しました。ちなみに畑で作業するためのもんぺは会社支給でなく自腹調達だとか(笑)


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成長の痛みを乗り越えろ~事業拡大に伴う組織の痛みとその処方箋

○桐山大介さん(テイクアンドギブ・ニーズ)

・成長を支えるのはFCモデル、ノウハウを作るのは直営モデル。戦略に応じて使い分けが必要
・ウエディングプランナーの仕事は複雑系で難しいのでマニュアルはない。いいパーティーをたくさん見る、経験する事が必要。
・スタッフが1000人でも人事制度がないのは、スキルを評価できる現場スタッフが見るのが一番正しいから
・まわりと比較しだすと会社がゆるんでいる証拠。自分自身の仕事に向き合う環境を維持することが重要
・意欲を出すエネルギーは価値感を担保する事から。個人と会社の根っこの価値観を確認し合うことで、モチベーションを持ち続けてもらうことができる

○須原清貴氏さん(GABA)

・人事制度の肝は単純である、あいまいである、ゆっくりやる事の三点
・あの人に言われたら仕方ないと言われるマネージャーを何人作れるかが課題
・今ある仕組みは一度評価してから見直す事。いきなり過去を否定してはダメ

お二人とも数々の修羅場をくぐってきた迫力がありました。人事の事は「不祥わたくしごときがさせていただきます」という人に対する謙虚さが必要という言葉がとても印象的でした。


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サービス業の事業創造~未開拓のマーケットを拓く

○井上英明さん(パーク・コーポレーション)

・店舗タイプは3種あり、気が付けば店内に入っているようなお店作りをしている
・細かいミスを気にしない褒め合う会社にしたい
・お店は雰囲気、商品、情報、サービスの4点をチェックしている
・自分自身の価値観はチャレンジし続ける、成長し続ける、貢献し続けるの3点
・全てをレジから見るのではなくお客様が立場から見て工夫している

○横井啓之さん(ABC Cooking Studio)

・全く料理ができない人が生徒でちょっとできる人は先生でやってきた
・新しい事業の判断は生徒に喜ばれるか?スタッフの負担にならないか?会社にとってプラスになるのか?の三点で評価
・マネージャーには仕事の成功、家庭の成功、社会人としての成功をするよう伝えている

○小岸弘和さん(ディアーズ・ブレイン)

・田舎に作ってくれて有り難うと喜ばれる結婚式場を作り1店づつ違うお店にする
・ウェディング市場は70万組の内、50万組しか結婚式をしていない。やっていない20万組を狙う所に市場があるはずと考えた
・アメフトのようにオフェンスとディフェンスをはっきり分けてチーム作りをする
・キーワードは「オープンドアーズ」常に扉を開けよう!

花、料理、結婚式と女性の憧れるテーマをビジネスにしている経営者は男性としても魅力的でしたが、その前に人間としてもとても魅力的な方々でした。きっとサービスもとびきり素敵なものだと確信できました。

二日間ここで出会ったみなさんからほんまにたくさんの事を学びました。
サービス業の肝が少し見えて来たような気がします。
おおきに!ありがとさんでした。感謝!


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